商社金融とは何か

商社金融とは

商社金融は、商社が商品の支払サイトとよばれる代金支払猶予期間を基にして実質的な融資を行う形態を言います。

日本では手形による支払が一般的という商習慣もあります。手形によって支払を行うと支払サイトが長期になる場合があります。そうなると支払いを行う側は良いけれども、支払いを受け取る側は資金繰りなどの点で課題が出てきたりします。そのような状況で、商社が支払いを行う側と支払いを受け取る側との間に入って、支払いを受け取る側に対しては早期に代金を支払い、支払う側に対しては希望する支払サイトに対応することによって、その期間差に生じる資金的なリスクと金利負担を通してマージンを得るという仕組みになっています。
このような仕組みの中では、客先には商品代金分の金額を貸し付けているという状態になっており、そのような商社の金融機能が商社金融といわれています。

商社金融のニーズはあるのか

商社金融は手数料を支払ってでもサービスを受けたいというニーズがあるために存在しているのです。

そこで具体的に説明するために、工場から小売に出荷をするという状況について考えてみます。

物流
その場合、商品は工場から直接小売のところに動きます。その間に商社が入っているということになるのです。

商社が入る理由

しかしそれはどうしてなのでしょうか?この点については、お金の流れを軸に考えていくことでその理由が分かると言えます。この場合、工場側と小売り側にはお金の流れに関して異なったニーズがあるのです。

工場側のニーズとしてはできるだけ早期に納品した商品を現金化したいところです。

それに対して小売店側は

アパレル
こちらは仕入に使う現金をできるだけ長く手元においておきたいというニーズがあるのです。
例えば、預金することで利子などのメリットがありますし、できるだけ支払いは遅くしたいのです。

つまり、工場はできるだけ売掛金サイトが短い方がありがたく、逆に小売店は買掛金のサイトが長い方がありがたいということなのです。
これには売る側のニーズもあり、後払いをすることで売るための商品仕入れを行い、先に商品が売れてから売り上げたお金で仕入れの代金を支払う方法が最もありがたいのです。この方法で取引を行うことができると元手がかからず、リスクも少ないのです。

こんな時に商社金融がある

しかし、実際にはこのように仕入れる側に都合の良い状況はそうなかなかできないところです。商品を作る工場側にとってはできるだけ早く商品の代金を回収することを望みます。そこに登場するのが商社金融です。


商社金融はまず工場側に代金を代わって支払います。
そして、時期が来たら小売り側から代金を受け取るという仕組みになります。

商社金融の方針

商売

商社はこのような商社金融を通して利益を得ることができるので、工場と小売店との取引を積極的に斡旋していきます。
実は工場側も小売店側もお互いのことはあまりよく知らないことも多く、例えば人工衛星のように特殊な商材などは小売店側はどこで作っているのかあまり把握しておらず、工場側もどこが買ってくれているのか、お互いに情報が入りにくいところがあるのです。

商社金融のメリット

幅広い商品を取り扱う商社は、そんな時に間に入って仲を取り持ちやすい立場におり、そうすることで商社にとっても両社に取引が生じれば商社金融サービスを含めてメリットがあるのです。つまり、商社には作る側と買う側を間に入って取り持つという機能もあるのです。
このように、商社金融は商品の代金支払猶予期間を軸にして実質的な融資を行う金融機能のことです。手形による支払いが可能という商習慣がこのような商社金融ニーズの背景にはあるといえます。